Everything in Its Right Place(SUB3.5 or DIE)

マラソン(PB3:36:04)、バンド(ベース担当)、海外独り旅(現在26ヵ国)、酒(ビール、ワイン、ウイスキー)、釣り(最近ご無沙汰)をこよなく愛する後期中年者の日常。

読書

旅読書

再確認したのは、とにかく海外旅行に行くと読書が捗る、ということ。 最近あまり本を読まなくなった理由は、老眼の進行と集中力の低下のみならず、海外旅行に行っていなかったことも大きかったようだ。 そんな訳で、ゴールデンウィークのタイ旅行の時は、久…

埼玉屋(東十条)

元総理大臣が応援演説中に銃撃されるというショッキングな事件が起こった日、私とサマーな後輩(仮名)は揃って午後半休を取得し、聖地・東十条の埼玉屋を参詣する約束をしていたのだった。 一応軽く意志確認のうえ、予定どおりに決行することにした。 開店10…

小田実「何でも見てやろう」読了

とんでもないものを読んでしまった。 というのが、読後の第一印象だ。 コロナ禍で私の生き甲斐である海外放浪が出来なくなり、一時買い漁った旅行本の中の1冊。 活字が小さいうえに分厚いので長らく放置していたのだが、もっと早く積ん読の山から掬い上げる…

金子光晴「どくろ杯」読了

明治生まれの反骨の詩人、金子光晴の自伝であり、旅行記。 しかしこれはただの旅行記ではない。 幼い息子を妻の実家に預け、妻を伴い、殆ど金も持たぬままに海外逃亡、結果7年に及んだ放浪の序盤である。 と書くと、沢木耕太郎の深夜特急のようだが、そんな…

山本文緒「自転しながら公転する」読了

山本文緒が亡くなった。 私は彼女の熱心な読者ではなかったけど、好きな小説を100冊挙げろと言われたら、「群青の夜の羽毛布」は間違いなく入ると思う。 この作品はライトノベルの名を借りていながら、人間の業を描ききったドストエフスキーに比肩する重層的か…

開高健「夏の闇」読了

エンタメ系探検作家の高野秀行と、シリアス系探検作家の角幡唯介が揃って絶賛していた、開高健の「夏の闇」を読んだ。 開高健といえば、「フイッシュ・オン」「オーパ!」というアングラー必読の書があるが、いずれも私は未読。 氏の著作は、恐らく高校の課題図書…

原田マハ「キネマの神様」読了

何故だか時折身体が一切活字を受け入れることが出来なくなる時期がある。 夏の暑さで集中力が落ちているのに加え、進行する老眼と相俟って、気が付けば8月以降只の1冊も本を読んでいなかった。 これは異常事態だ。 ところで松竹映画100周年作品の「キネマの神…

村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」読了

読み返したかったのだが断捨離で処分してしまった為に、文庫を買い直した。 村上春樹著、「走ることについて語るときに僕の語ること」であります。 奥付をみると、ハードカバーで発売されたのは2007年10月。 ということは、私は2007年にこの本を読んだことは間…

リハビリ読書

コロナで世界が変わった後、私にも幾つもの変化が訪れた。 そのなかのひとつは読書傾向。 小説を読むことが激減し、代わりにノンフィクションを読むことが増えたのだ。 私の読書はフィクションとノンフィクションの比率は8:2、もしかしたら9:1ぐらいかもしれ…

龍朋(神楽坂)

「パン屋再襲撃」という村上春樹の短編小説がある。 夜中に理不尽な空腹感に襲われた夫婦、妻がこれはかつて貧乏時代に夫婦で襲ったパン屋の呪いに違いないと言う。 「もう一度パン屋を襲うのよ。それも今すぐにね。」 それは夜中のことだったので開いているパン…

千野帽子「人はなぜ物語を求めるのか」読了

ジャケ買いならぬ、タイトル買いである。 何故物語が必要なのか。 これは私にとっても永遠の課題だったからだ。 優れた表現とは、物語を取り込むためのツールである、という立場を私はとっている。 優れた小説、映画、マンガ、絵画、音楽、etc.は、いずれも…

東畑開人「居るのはつらいよ」読了。

評論が対象の大佛次郎論壇賞を授賞したこちらの本。 タイトルはなんのこっちゃだが、「ケアとセラピーについての覚書」という副題から分かる通りで、京都大学院の博士課程を終了した筆者が、沖縄の精神病院で臨床心理士(セラピスト)の職を得ると同時に、併設す…

幡野広志「なんで僕に聞くんだろう。」読了

なんだっけ、この本? と一瞬考えて、そうだそうだと思い出す。 ガンになった写真家が答える人生相談。 ラジオ悩み相談などの類いのプログラムが死ぬほど嫌いな私、一瞬「なんで僕は買ったのだろう」と自問したが、twitterがきっかけでこの作者を知り、さわり…

ジョン・クラカワー「荒野へ」読了

高野秀行と角幡唯介の対談で知って興味を持ったこの本。 裕福な家庭で育ち、優秀な成績で大学を卒業したアメリカ人の青年クリス・マッカンドレスが、卒業と同時に全財産を慈善団体に寄付し、家族にも何も告げずに放浪の旅に出て、2年後にアラスカで遺体で発…

高野秀行「イスラム飲酒紀行」読了

ソマリランドの余韻冷めやらぬなか、気分転換に軽いものが読みたくなって、積ん読の沼からサルベージしたのは再び高野本。 イスラム飲酒紀行である。 こちらは抱腹絶倒のユルユル高野本であります。 タイトルが全て。 イスラムの教義でアルコールが禁止のイ…

高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」読了

私の趣味の中で最も重要な海外放浪が出来ない反動だと思うのだが、この一年、高野秀行や角幡唯介や椎名誠や石田ゆうすけなどの旅行記/探検本の類いをよく読んだ。 のみならず、自分のブログの旅行記も、時折読み返した。 自らの旅の追想や、他人の旅/探検の…

みんなバーに帰る/パトリック・デウィット読了

積ん読の山から取り出したるは、「みんなバーに帰る」。 どういう経緯で入手したのか全く覚えていないのだが、駄目人間が多数登場する馬鹿馬鹿しい小説との触れ込みだったので、馬鹿馬鹿しい小説を読みたくなる気分になるまで放置していたのだ。 会社の馬鹿馬…

中上健次「枯木灘」読了

私が高校生の頃、中上健次は間違いなく文壇の寵児であった。 なにしろ、戦後生まれで初めて芥川賞を受賞した作家なのだ。 学校の課題図書で読んだのか、個人的な興味で読んだのか覚えていないが、高校三年の時に中上健次の代表作、「枯木灘」を読んだ。 複雑…

椎名誠パタゴニア~あるいは風とタンポポの物語り読了

エンタメ作品を純文学より下に見ている気はさらさらないが、それでも島根鳥取旅行の際に、「北海タイムス物語」の次に読んだエンタメ小説は、実にキツかった。 圧倒的に浅いのだ。 北海タイムス物語の横に、店員さんの熱いコメントカードが添えられて展開し…

北海タイムス物語、読了

大山登山を終え、麓の豪円湯院でビール飲みながら読了。 あの「七帝柔道記」の続編的小説との触れ込みだったので、同書に深く感動した私はハードカバーで購入したまま積ん読の山に加えて放置、その間に文庫化されてしまい、今回の旅行のお供に改めて文庫を購…

謎のアジア納豆~追記

そう言えば、この本を読んで、昨年来の疑問のようなモヤモヤが晴れたので追記しておく。 ネパール納豆の章で、地元の女の子が「カースト」という発言をして、高野氏が驚くシーンが出てくる。 引用すると、 「彼女もマガル族?」と訊くと、「ううん、グルン族。で…

謎のアジア納豆/高野秀行

エンタメを純文学より下に見ている気は毛頭ないが、エンタメ系のハードカバーを買うのは憚られ、やはり文庫化を待ってしまう。 いや、冷静に考えてみたら最近では好きな作家の純文学の本でさえ、新刊が出たら即買おうと思えるものは少ない。いや、殆ど無い。…

読書の季節~あやうく一生懸命生きるところだった

マイカー通勤は古い音楽を楽しむのにうってつけの環境だったが、移動中に文章を書いたり(例えばこのブログだったり、メールだったり)、読書が出来ないというデメリットもあった。 その反動なのだろうか、ここ2週間程で9冊も本を買い込んでしまった。 私は活…

Kindle paperwhite

基本的に気が短いので半身浴みたいなまどろっこしいことは性格的に出来ないのである。 しかし、持病の腰痛が悪化している上に今年の正月休みは旅にも行けず、挙げ句の果てに初釣りも中止になるなど暇を持て余しており、ものは試しとKindle片手にぬるめのお湯…