Everything in Its Right Place(SUB3.5 or DIE)

マラソン(PB3:36:04)、バンド(ベース担当)、海外独り旅(現在26ヵ国)、酒(ビール、ワイン、ウイスキー)、釣り(最近ご無沙汰)をこよなく愛する後期中年者の日常。フルマラソン・サブ3.5を本気で目指すことにしてしまった。

長野マラソン2024

天は我に味方した。

 

1週間前から出ていた雨予報は曇りに変わり、2日前までの季節外れの猛暑は収まり最高気温は18℃予報、更に風も殆ど吹いていない。

 

あとは己を信じて42.195km走るのみだ。

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スタート地点の運動公園は市内中心部からのアクセスが悪く、電車とシャトルバスを乗り継がねばならないらしい。

私は金で解決することにして、ホテルまでタクシーを呼んだ。

荷物を預け、トイレに2回行き、経口補水液ジェルでカフェイン錠剤(疲労を感じにくくする御守)とロキソニン(尿意を遠ざける御守)を流し込み、スタートブロックに号砲30分前に入る。

朝は肌寒いかもと100均の雨合羽と軍手を身に着けていたが、湿度が高く無風のコンディション、人いきれでむしろ暑さを感じ、いずれも早々に脱ぎ捨ててゴミ箱へ。

 

さぁ、いよいよ本命レース、私的大一番のスタートだ。

プランは決めてある。

最初の5kmを27分。以降5km26分で巡航。

出来れば30kmから上げて3時間40分切りを目指す。

 

レースの入りのシュミレーションは何度もやったし、4週間前のハーフマラソンで突っ込む訓練もした。

アップダウンの多い熊本マラソンは精神修養になったし、あとは自分を信じてプランを遂行するのみである。

何も難しいことはない。


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制限時間5時間と厳しめの長野マラソンはシリアスレース。

仮装も禁止だし(これは個人的には嬉しい)、目標タイム3時間40分の私に割り振られたスタートブロックはなんとF。

このブロックの先頭には3時間45分ペーサーがいた。

3時間40分切りを目指す私は、なるべく早いうちに抜く必要がある。

 

8時30分にスタートの合図。

ロスタイムは2分30秒程だったが、最初の1kmは5分25秒とほぼ予定通りで入れた。

混雑しているうちは何も考えずに3時間45分のペーサーに着いていけばいい。

 

コース上は混雑しているものの、周りの人達は皆同じようなペースで走っている為、走り難さは感じない。

しかし、風が弱く湿度が高めのせいか、人いきれでモワッとした熱気が凄くて、3km過ぎで早くも汗だくに。

これは初めての経験だが、5kmの最初のエイドで早くもスポドリに手を伸ばす。その後も多くのエイドのお世話になったのだが、マラソンも9回目ともなるとエイドの寄り方にも慣れてきて、タイムロスは最小限に留める術と、走りながら水を飲むテクニックも身に付いた。

 

9km手前で急に人口密度が高まり走り難くなったが、これは3時間45分ペーサーに追い付いたからであった。ペーサーの後ろはランナーが固まるのが常なのだ。

隙間を見つけたらペースを上げて一気に集団の前に出る。

 

さて、ここから先は自動運転モードに切り替えて淡々と同じペースを刻むのみだ。

 

25km辺りで左のお尻が痛み始めた。

次いで右の腿も張ってきた。

そう言えば、いつも痛くなるのは左のお尻と右の腿だ。

走り方がおかしいのだろう。

でも今フォームの改善について悩むのは適切ではない。

痛みの事も一旦棚上げして、ただ前に進むことだけを考える。

 

余裕は全く無かったが、30kmから少しペースを上げてみた。

私はいつも30kmから上げることを自らに課しているのだ。

 

かなりいっぱいいっぱいだったが、35kmから更に少しペースを上げてみた。

私はいつも35kmから更に上げることを自らに課しているのだ。

そして学んだのは、僅かながらも気持ちでペースはちゃんと上がるということ。正にマラソンとはメンタルのスポーツでもある。

 

41km付近で本当の限界を感じたが、ここまでくればもうこっちのものである。

遠くにゴールの競技場が見えてきたら、気合で脚は動くのだ。


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最後はいつ失速してもおかしくないような極限状態に陥りながらもゴール!

これ以上1秒だって削り出せないような、自らの力を100%出し切ることが出来た実感があった。


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公式記録はネットタイムで3時間36分4秒。

今年の2月に熊本城マラソンで記録した自己ベストを一気に5分8秒更新することが出来た。

過去一番の会心のレースであった。

悦び50%、安堵感50% 、そしてもう走らなくて良いという解放感は無限大である。

 

丁度1週間に55歳になってしまった私は、四捨五入すると60、ついにアラカンの仲間入りをした。

日々様々な局面に於いて、自らの衰えを自覚する。

啞然とすることも増える一方でる。

加齢とは、今まで普通に出来ていたことが出来なくなっていく残酷なプロセスだ。

 

しかし、走ることに関しては、私は右肩上がりであり、今までの人生で今が一番速いのである。

3時間36分という記録が如何に平凡で無意味なものであっても、私にとっては一つの達成なのだ。

 

今日だけは自分自身を祝福し、自分の努力を労おう。

 

と同時に、参ったなという想いも芽生えた。

3時間30分切り、所謂サブ3.5が射程圏内に入ってきてしまったからである。

恐らくは3時間40分を切ったランナーは皆意識するであろうターゲットだ。

 

本当に参ったな。 

 

一体どうやってここから6分も削り出したらいいのだ?