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原田マハ「キネマの神様」読了

何故だか時折身体が一切活字を受け入れることが出来なくなる時期がある。

夏の暑さで集中力が落ちているのに加え、進行する老眼と相俟って、気が付けば8月以降只の1冊も本を読んでいなかった。

 

これは異常事態だ。

 

ところで松竹映画100周年作品の「キネマの神様」、山田洋次監督の書き下ろしだと思っていたのだが、仕事の合間の暇潰しに入った本屋で文庫本が山積みになっているのを見て、原作があることを知った。

しかも作者は原田マハではないか。

 

彼女の兄、原田宗典の本は20代の頃に結構読んでいて、「楽園のカンヴァス」でブレイクした際に興味を持ち、何冊か積ん読の山に加えているものの未読の作家だ。

兄は早々に才能を使い果たしたのか、久々にその名を聞いたのは薬物で逮捕された時だったが、遅咲きの妹はデビュー以来順調にキャリアを積んでいるようだ。

 

これならサラっと読めそうだと買ってみた。


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作者の映画愛が初端から全開、映画愛を持ち合わせていない私との親和性の低さは明らかだが、それは「キネマの神様」というタイトルの小説を購入した私に問題があるので気にしない。

割りと安易なキャラクター設定、ご都合主義全開のストーリー展開、バリバリのエンタメ小説だ。

しかしながら人情の機微の描写などは、なんとなく兄の原田宗典との類似性を感じないでもなく、感受性の醸成には家庭環境が影響するのかな、と変に感心した。

それに、安易なキャラクター設定も、ご都合主義も、フィクションなら何でも許される。

要は面白ければ良いのだ。

 

サラっと読めて、楽しめるという意味では狙いどおり、活字離れからのリハビリにはうってつけの1冊だった。


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ちなみにカバーは二重になっており、本来のカバーの上に、映画とのコラボレーションカバーがかけられた状態で売られた。

お陰で目を引き、手に取り、「おっ、これ原田マハなんだ」となって、出版社と映画会社の思惑通りに購入してしまった訳だが。

 

秋は読書の季節。

もっと本を読もう。