中山丸で我慢の鯵釣りを終えた帰り道。
船でローソンの低糖質パン三種類と、茹で卵2個を食べた私は、とくに空腹という訳でもなかったのだが、猛烈に刹那的気分に支配され、つい上々家に寄ってしまった。
生きていてこそのラーメン。
ことほど左様に私は弱い人間である。
しかし、村上春樹著「羊をめぐる冒険」の終末部で、幽霊になった鼠は主人公の「僕」に、自分の弱さが好きだった、と告白する。
そう、弱さとは、ある意味で人間らしさの別名なのだ。
というのはこの場合勿論自己正当化である訳だが、一方で真実でもある。
ラーメン、のり、煮卵トッピング。
コールは固め。
ちなみに麺の硬さを指定する場合の漢字は「硬め」という立場を私はとっているのだが、上々家はじめ家系店舗では「固め」という、4の字や卍やさそり的な表記を用いている場合が多いので、私もそれに倣って「固め」としております。
過去の上々家環八矢口店の記事で「固め」と書いていたのも同様の理由であります。
厨房の奥には今は亡き環八矢口店の無愛想な店員の姿も見え、なんだか嬉しくなった。
やはり気のせいではない。
本店のスープは、環八矢口店のスープよりも野趣控えめな味である。
とは言え正統派ストロングスタイルの家系、
ハードボイルドな卵、肉厚のチャーシュー、惜しげもなく乗せられた大きな海苔、全てが男らしい。
店員には女性の方もいらっしゃいますけどね。
うーん。太くて短い麺を海苔でくるんで食べると、幸せの味がする。最高!
途中から適宜卓上の調味料を加えて味変を楽しみつつフィニッシュ。
元気を貰ってごちそうさま。
食べることは生きる為に栄養を補給する行為に他ならないが、それと同時に味わうことを楽しむ行為でもある。
楽しいことが奪われがちな昨今の情勢、糖質制限よりも大事なことが、「食べること」には確かにある。
上手くバランスをとっていこうじゃないか。