走ることの奥深さを知るにつれ、特に長距離走にのめり込むにつれ、50代から走り始めた私には比べるべき若い頃の記録が無い分、前だけを向いて走り続けることが出来るメリットがあると気が付いた。
老化によって体力は落ちるのは自然の理、即ちスピーは当然落ちる。
しかし、計画的なトレーニングによって持久力は伸ばすことが出来る。
つまりは長い距離を走ることに関しては、持久力を鍛えることによって、右肩上がりに伸びることがこの期に及んで可能なのである。たとえいくら緩やかな成長曲線であろうとも、だ。
これが短距離走なら、いや、走ることに限らず多くのスポーツなら、こういうメンタリティで取り組むことは難しいだろう。
スポーツに限る必要すらもない。
加齢とは、普通に出来ていたことが出来なくなるプロセスでもある。
今の私が右肩上がりの成長を実感しながら取り組める何かが、果たしてこの世の中に存在するのだろうか?
走ることを除いて。
事程左様に、長い距離を走るということはフィジカル以上にロジカルな行為であり、マラソンとは知略のスポーツだとも言える。
前置きが長くなったが、東北みやぎ復興マラソンを走り切ったご褒美に、実際のところ目標を達成することは出来なかったものの、それなりの記録にまとめることが出来たご褒美に、onの気になる新商品を購入してしまった。
それがこちら、cloudeclipse。
cloudmonsterをも凌ぐ分厚いソールが特徴で、今年発売されたばかりのcloudsurferと同じパターンのcloud tech phaseが配置された新作、onのファンとしてはこの見た目とスペックだけで心が踊るというものである。
onのシューズはランニング用として寿命を終えた後も街履き用として使いたいスタイリッシュなデザインなので、ついつい無難な色を選びがちなのだが、今回は手持ちのシューズと被らない色を敢えて選んでみた。
X字型に配置されたスピードボードに、onらしからぬパターンのアウトソール。
on最大の弱点であるソールに小石が挟まることも避けられそうなパターンは好印象。
まさに進化系シューズだ。
実際に走ってみて最初に感じるのは、この厚いソールがもたらせる柔らかい接地感だ。
しかも安定感が非常に高く、これだけの厚底でありながら着地した脚がブレる感じは皆無。
そして反発もそれなりにあり、更にcloud tech phaseの恩恵か、脚が勝手に回る感覚もある。
非常に気持ちの良いシューズであり、柔らかさ、安定感、反発、走りやすさは私の絶対の信頼シューズ、HOKAのBONDIシリーズをも超えている。
本当に最近のonの攻めっぷりは見事である。
すっかりと心が奪われてしまった。
BONDI8は走行距離が1200kmに到達したのでこれを機会に引退、これにて私のジョグシューズは、cloudmonster、cloudstratus、cloudeclipseと全てonになりました。
しかしアウトソールがここまで削れているのに、ミッドソールの柔らかさは今だに健在なのは凄い点ではある。
暫くしたらまたBONDIシリーズが欲しくなる可能性は高いかも。