恐ろしく意味のない会議が終わったのは14時を少し回ったところだった。
この徒労感と虚無感、「実存は本質に先立つ」と言ったサルトルは正しかった。
とりあえず私は旨いメシを食べる必要があった。
食は生存の為に必要だが、旨いメシは生きる為に必要だ。
オスカー・ワイルドが言っているではないか、「生きるとはこの世で最も稀なことである。大抵の人間は存在しているに過ぎない。That's all」と。
事程左様に意味のない会議とは私の心を蝕み、私を面倒臭い人間へと変えていく負の力があるのだ。
そんな訳で気を取り直して通し営業の護国寺MENSHOへ。
おっと、和牛坦々麺が復活しているぞ!
お値段は昨年より200円上がって1200円になっているけど、試さない訳にはいかない。
お久しぶりの和牛坦々麺。
見た目からして以前とかなり異なっている。
チンゲン菜はなく、代わりにネギとドライ・トマト、そして和牛は4切れから2切れに減量。
これは進化ではなく、もしかしたら退化かもしれない。
しかしそこは常に進化を止めないMENSHO、心配は無用であった。
なんと麺がもち麦つけ麺で使用している、もち麦多加水太麺になっている!
そしてスープもこの麺に合うよう考え抜かれたのだろう、胡麻の濃度が薄まる代わりに、スープの出汁感と旨味が増していて、最早これは何にも似ていない創作料理のようだ。
スープの底には大量のそぼろが沈んでおり、それらをサルベージするうちにスープも完飲してしまうという、恐ろしいおまけつきだった。この旨い和牛のそぼろを放置しては帰れないのだ。
旨い。
これは本当に旨い。
昨年何度となく楽しんだ夏の限定メニュー、冷やしアーモンド担々麺の提供は、果たして今年もあるのだろうか?
あればそれはきっと昨年から大幅な進歩を遂げているに違いない。
とにかくMENSHOからは目が離せないことは間違いないのであった。
想像力と創造力は、恐ろしく意味のない会議からは決して生まれないのだ。