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メルセデス・ベンツE320CDI車検

マジか。

もうあれから2年も経ったのか。

 

前の車の記憶はだいぶ薄れているのに、相変わらず、右ハンドル車の車庫入れは私を悩ます。

14年間乗り続けて身体に染み付いた習慣とか感覚は、記憶とは異なる形で我が身に宿り、そう簡単には覆らないようだ。

たとえ2年が経過したとしても。


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さて、車検を迎えた我が愛車、この1年間の走行距離は5671km、平均燃費は12.8kmだった。

伊勢・熊野旅行に、滋賀旅行、執拗な長野旅行、遠方に出掛けまくり年間走行距離8500kmに及んだ昨年に比べると随分と少ないけれど、コロナ禍以前は年間2000~3000kmの走行距離が常態化していた私にとっては、よく乗ったなという印象である。

走行距離47300kmで購入した車の距離計は、61000kmを超えている。

 

後輪にスリップサインが出ていたのでタイヤ4本を交換。2年4ヶ月前に通した前の車、CLK320カブリオレの車検でタイヤを交換したばかりだったので、割り切れない思いが再燃した。そう、私はまだまだCLKに乗るつもりだったのだ。

ピレリから安くて良いタイヤが出ているとメカニック氏、しかしそれにしても17インチのタイヤはそれなりに高いのである。

 

バッテリーは6年が経過していたのでまだ不具合はないものの予防措置的に交換。

メルセデスの大容量バッテリーは、純正品でなくても相当に高い。

 

最近2速から3速、3速から2速へのシフトアップ/ダウンの変速ショックが大きかったので、ATFも交換。凄腕メカニック氏によれば、シフトショックはコンピューターのスピードセンサーのバグが殆どなので、リセットすれば治るだろうけど、それはそれとしてATFは交換した方が良いと言われる。

ちなみにATFは相当に汚れていたそうで、納車以来一度も交換していないというのがメカニック氏の見立てだ。

 

新車登録から12年が経過しているし、昨年12ヶ月点検で一通り観てもらったとは言え、整備記録の無い素性の知れない車でもあるので、この際徹底的に観てくださいとお願いしておいたのだが、オイル漏れなども全くなく、エンジンルームもボディの下も綺麗なもので、ブレーキパッドもグロープラグもまだまだ当面は大丈夫そうとのこと。

他は定番のエンジンオイルとフィルター、エアコンフィルター、ワイパーのゴムの交換など。

総費用29万円もかかって痛い出費だけど、長く乗るためには必須の手順だ。

何よりも自身もメルセデス好きなメカニック氏に「良い車」とお墨付きを頂いたのは最大の収穫である。

2台しか入らない小さな工場には、BMWの5シリーズと、CLAシューティングブレークが揃って上架されており、商売繁昌なメカニック氏であった。

 

思えば車の買い替えとは、私にとっては常に弁証法的なものであった。

2年前に右ハンドルでドアが4枚ある車がどうしても必要になり、当初私は同じW211メルセデスのE250に絞って車探しをしていた。要は妥協である。

しかし、スペックを見ただけでなんとなく嫌になってしまった。つまりはE250ではCLK320カブリオレジンテーゼ足り得ないのだ。

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屋根が開き、綺麗で稀少な色というのが特に気に入っている部分だったけど、私が感じていたメルセデスの本質とは、安定感と余裕だ。

一方でCLK320のアンチテーゼは燃費と加速の悪さにある。

安定感と余裕という本質(テーゼ)をランクダウンさせることなく、燃費と加速(アンチテーゼ)を止揚(アウフヘーベン)する、ジンテーゼとしての最適解が、クリーンディーゼルという選択だった。

そしてメルセデスディーゼルエンジンとしてはこれより大きな排気量はなく、また同じW211のV8エンジンをも凌ぐ狂ったトルクはV6の3000ccエンジンとしては当時最強で、ある意味で弁証法の描くトライアングルの頂点に達したことを意味した。つまり、これは私にとっての「あがり」の車だ。

一旦あがってしまえば、私は最早車弁証法サイクルから完全に自由だ。次は小型ハッチバックを買える程に自由だ。ゲームは終わったのだ。

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写真は私の愛車、ストレイシープ号@ホテルルートインgrand上田駅前駐車場。

昨今隆盛のアグレッシブなフロントデザインとは異なり、何処か女性的で控えめなデザインは割と気に入っている。

しかし最近の車って、何かのレギュレーションのように、揃ってヘッドライトがツリ目でフロントグリルには大きなエンブレム、どれもこれも似たり寄ったりで、なんか面白味に欠ける。

メルセデスもW212の大失敗デザインで売上を大幅に落とした反省から、W212後期型からはご多分に漏れない方向性へとシフトした。

これってアウディの意匠じゃないかと、私は思ってしまう。

「最高か無か」を社是とするメルセデス、デザインも我が道を行ってほしいものだよね、まったく。


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エンジンの回転は滑らかになり、トランスミッションのシフトチェンジはスムーズになり、ニュータイヤの乗り心地はとても良い。

時代遅れの愛車と、まだ暫くは物語を紡いでいこう。