港をでて5分、船は急減速し、そして止まった。
目の前にあるはずの横浜ベイブリッジが、全く見えないのである。
デビッド・カッパーフィールドがマジックで消した訳ではない。
霧である。
濃霧である。
これほどの濃い霧の中では、リスクが高すぎる。
港に引き返ししばし様子を見たが、霧が晴れる保証はなく、そのまま出船中止となった。
船長の判断は賢明だと言えよう。
私の釣り人生において、最も短い乗船時間が記録された。
残念。
家に帰るとまだ7時半。
勿論、午後ではなく、午前7時半である。
このままだとやけ酒が始まりそうだったので、8時半頃着替えてジョギングに繰り出した。
この日は立夏で、暦の上では夏の始まり。
まさに暦通りの強烈な日射しが頭上から突き刺さり、遮るもののない多摩川サイクリングロードは灼熱地獄。
走ることが楽しい季節は完全に終わったようだ。
大汗かいたのでビールを飲みたいところだが、今プルタブを引いたらやけ酒が始まってしまう。
私はスピンバイクに跨がり、45分ほどペダルをこぎ続けた。
更に汗だくとなった。
シャワーを浴び、汗で濡れた服を洗濯する。
もう何もすることがなかった。
いや、やるべきことは幾らでもあるのだが、何もやる気が起きなかった。
結局私のやけ酒祭りは、正午に始まったのだった。
長い一日だ。