前日うだつの上がらない七人衆に行く手を阻まれて食べ損ねた巌哲さんの盛り。
翌日早速リベンジに出掛けた。
なにしろこの日は金曜日、翌土曜日が提供最終日の盛り、私が狙える実質的な最終日なのだ。
運良く並びはなし。
しかし扉を開けると店内満席。
だが幸運なことに券売機で食券を購入している時に一番手前の席が空き、待つことなく座れたのだった。
オーダーは迷うことなく盛り300g。
アラカンおじいさんにはtoo much painな量だが、200g、300g、400g、500g、という盛りのメニュー構成から、思う存分に自慢の自家製麺を楽しんで貰いたいという店主の心意気が感じられ、最早400gは無理にしても300gはいっておこうという気になるのだ。
嗚呼、最後の盛り。
大混雑、そして他の複数の客の盛りと同ロットだった為か、麺が伸び気味であったばかりか、水での締め方も甘く、ちょっと温度の高い部分があったのが残念。
しかし、シンプルであるが故に一切の誤魔化しの効かないこのメニューのストリクトさ加減を再認識した。
節の香り強い汁に冷たい麺を浸して喰らう。
蕎麦、素麺、冷麦の中華麺バージョンである盛り。
しかし、存在感ある豚肉が盛りを盛り足らしめる。
つまりはそんなに単純なメニューではないのだ。
切り方を変えた2種のネギも、刻みは薬味として、長めの細切りはアクセントとして使い分ける。
また、丼の縁に添えられた柚子胡椒が実に良い。
豚肉にも勿論合うが、麺に少し乗せて啜ると最高なのだ。
オイルをまぶしたあと、指で手櫛を梳いて整えた麺は、長さのある細麺でありながら麺同士がくっつくことがない。
替玉を先に提供する大バカ野郎花月嵐に見習って欲しい、というか、麺が如何に繊細であるかを知って欲しいね、まったく。
麺完食後はスープ割をもらう。これも雰囲気的には蕎麦湯だ。
麺に油をまぶしてあるので、汁には油が浮いている。
いつもは一口二口飲んでやめておくのだが、この日は最後の盛りということでほぼ完飲してしまった。
嗚呼、終わってしまった。
食べ終えてしまった。
これで私の人生から盛りと鮪塩冷しという夏の2大楽しみメニューが永遠に失われてしまったのだ。
喪失の2024夏。