あまり嬉しくない所用で新橋へ。
用事を済ませた帰り道、トリスバー発見。
軽く寄ってみますか。
ウヰスキー界のホッピーのような存在であるトリス、庶民的な雰囲気を期待して入ったのだが、店内はスノッブなバーだった。
つまようじ入れもトリスおじさん。
いきなりハイボールというのも私のスタイルではないので、生ビール。
銘柄はプレモル、グラスにはトリスおじさん。
暑いこの時期、プレモルのコクと強めの甘味はむしろ余計かな。こんなグラスビールよりは、大ジョッキか大瓶を豪快にゴクゴクといきたいところ。
ちなみにコースターもトリスおじさんという拘り。
コロコロベーコンポテサラ。
おいおい、なんだよこの白い粉は!
白い粉と言っても非合法なあれじゃなくて、パルメザンチーズ、というより緑の缶の粉チーズだよな、これ!
パルメザンチーズ、というか、パルミジャーノ・レッジャーノはある程度克服した私だ。
旨いとは思わないまでも、このチーズがイタリアンで重宝される理由は少なくとも理解出来たし、積極的に食べることは依然として無いものの、わざわざ避ける理由も最早ない。
しかし、パルミジャーノ・レッジャーノと緑の缶の粉チーズは全く異なるのだ。
しかも、ポテトサラダの上からかけるだけではなく、サラダをよそう前の皿自体にも、大量の粉チーズが敷き詰められていた。
上にかかった虱みたいな粉チーズを避けて、無害な部分だけでも救おうと思ったけど、もう無理である。何処を食べても下品な粉チーズの味しかしない。
箸に着いた粉チーズが気持ち悪く、ナプキンで執拗に箸を拭く。
無理。この箸で何も掴みたくない。
しかも下品な粉チーズは、とにかく臭い。
私は店員を呼び、ほぼ手をつけていない、この薄汚いポテトサラダを下げて貰った。
何か問題ありましたか?
お口に合いませんでしたか?
せめてその一言があれば、少しは私も救われたかもしれないが、私の粉チーズへの憎しみは分かってもらえなかったようだ。
トリハイクラシック。
なんだよ、この自意識過剰なトリハイは?
オメーはカクテルじゃない、所詮はトリスで作ったハイボールなんだぞ?
もう、違和感しかないよね。チープなトリスの魅力を虚飾で誤魔化すなんて愚の骨頂だ。
いや、すまん、言い過ぎた、粉チーズまみれのポテトサラダの怒りが冷めていないだけだ。
カキの燻製オイル漬け。
悪くはないけど、ここまでの悪い印象で最早素直に受け入れることは出来ない。
トリハイよりは、白ワインに合わせたいな、これ、と、トリスバー全否定モードに入ってしまった。
締めて2599円。
料理二品、酒二杯といういつもの私の国民酒場での軽い飲みなら、この半額で楽しめる。
新橋で飲むぐらいなら、真っ直ぐ蒲田まで戻れば良かったのだ。
お釣りと一緒に次回一杯無料券を貰ったが、レシートと共に置いてきた。
トリスウイスキーのブランディングの為のメーカー直営のこの店は、そもそも成り立ちからして私との相性は悪く、そして私は私の料理に予め粉チーズなどという家畜の餌を振り掛ける店は、絶体に受け入れられない。
つまりそんな券を貰ったところで、只のゴミなのだ。
ちなみにイタリアのトリノで入ったピッツェリアでは、ホールに粉チーズ係のオジサンがいて、希望すればサラダやスープにパルメザンチーズを粉にして入れてくれるシステムだった。
本場だって予め粉チーズまみれにするような不粋はしないんだぜ?
家で飲み直しだ!