揃って午後半休を取得し、16時の開店時刻の10分前からサマーな後輩(仮名)と連れ立って、埼玉屋に並ぶ。
いつもの如く、ポール・ポジションをゲット。
いつものように最奥のカウンター席に陣取り、私は生ホッピー、サマーな後輩(仮名)は生ビールをオーダーして、本日の激情型もつ焼き劇場の開幕である。
ベリーレア?
これまたいつものように大将の確認から焼き物スタート。
半生の霜降り和牛串に、1本目からノックアウト。ヤバい。とろける旨さだ。
続いて上シロ、レバー、ハツ、ネギマ、チレガーリックバター、タン、カシラ、正肉サルサソースの9本セット。
一品料理はお通しのクレソンと大根のサラダ、ポルコ(豚の耳オリーブオイル)、牛タタキ(常連限定イリーガルスペシャル)、レバーステーキ、牛肩ロースの煮込み(もつ煮と言って大将に激怒されたのは良い想い出)、パン。
ジュニアに勧められてシロタレ追加で腹パンパン。
レモンサワーも何杯飲んだろうか、酔い加減もいい感じ。
旨い料理と旨い酒、大将とジュニアと若女将のホスピタリティ、年に数回訪れるだけの決して常連とは言い難い我々だが、かれこれ10年以上も通っている大事な店、心の底から充たされた。
会計を済ませて店を出ると、大将が見送りに出てきてくれる。
美味しい料理と酒に感動してもらいたい、という大将の言葉に嘘偽りはなく、美味しい料理と酒に心底満足したという我々の言葉にも嘘偽りはない。
時節柄握手が憚られる時期、大将が差し出す拳とグータッチをして店を後にした。
愛すべき、最高の店である。
私が愛せない方々を、この聖なる場所に連れてくることは絶対にないだろう。
店を出てもまだ6時。
薄暮の東十条の街は場末の哀愁が漂う。
下品な店でビールを飲んで帰ろう。
うってつけの店が駅前にあった。
唯一の誤算はトイレにウォシュレットがなかったことだが、それがむしろ私にアジアの国をリマインドさせ、そうだ、世界は不便であるのが当然なのだと、忘れかけていた感覚が甦った。
そしてくだらないヤツが威張るのがこの世の常だが、くだらないヤツは少なくとも俺達の世界からは排除しようと強く思うのだった。