花月嵐の飯田商店コラボらぁ麺と、生粋花のれんのせいで、淡麗系醤油の迷宮にはまりこんでしまった私は、間違いの無い店に救いを求めたのだった。
早稲田巌哲、肉醤油。
スープを一口。
魚介の香り、追って動物系の風味。
多分鶏だろうが、この仄かな上品な香りを嗅ぐと、花月嵐や花のれんの鶏の匂いは淡麗どころかむしろ下品に感じる。
そしてカエシの醤油も優しい。
お正月のお雑煮をリマインドさせる、完全に和食なテイストである。
和食ならばリマインドだとかテイストなどと横文字を使わない方がいいのかもしれないが、巌哲こそビブグルマンに値するような国際基準を満たす店に思えるからこれでいいのだ。
しかし只の和食風とは異なり、風味の高いオイルがスープに更なる個性と奥行きを与えている。とにかく旨い。唸りながら飲む。
そして麺。
加水率やや高めの細麺は、花月嵐と花のれんに比べると圧倒的にコシがある。
そして、とても喉越しが良い。
肉は分厚いものから薄いものまで、グラデーションの如くたっぷり。
分厚いものはフライパンで炙ってから丼に入れる手のかけようだ。
そして名古屋コーチンの半熟卵も、絶妙の茹で加減、味も濃くて美味しい。
肉醤油1200円+半熟卵130円。
ラーメンとしては高い。
しかしながら、花月嵐の飯田商店が1100円、花のれんの特製醤油が1300円。
絶対的には一杯のラーメンとして高いが、相対的に高く感じさせない説得力がある。
今夏の鮪塩冷やしの衝撃以降、私はすっかり巌哲のとりこだ。
淡麗における正しい醤油を頂き、私のもやもやはすっかり晴れたのだった。