Everything in Its Right Place(SUB3.5 or DIE)

マラソン(PB3:36:04)、バンド(ベース担当)、海外独り旅(現在26ヵ国)、酒(ビール、ワイン、ウイスキー)、釣り(最近ご無沙汰)をこよなく愛する後期中年者の日常。

代休・・・野毛屋

会社が開店休業状態にあるので徐々に作業量も減ってきて、遂にテレワークなるものを1日だけ取れそうな状況だ。

 

しかし、ストレスのみならず色々と思うところや感じるところもあり、殺伐とした気分と、恐らくはある種の暴力衝動を抱えていた私は、テレワークではなく代休の取得を高らかに宣言し、久し振りに野毛屋へと向かった。

 

待ちに待ったゴールデンウィークは目前だが、私がチケットを購入したKLMオランダ航空は飛ばない。

スタジオは究極の三密であり、バンドで爆音を鳴らすことも叶わない。

釣りも少なからぬ船宿が休業を決めている上に、黒岩神奈川県知事が「神奈川に来ないでくれ」と要請しているなかではあるが、私には釣りしか残されていない。

例え黒岩知事が私を拒んでも、黒川さんが受け入れてくれるなら私はルビコン川ならぬ多摩川を渡りますよ。

 

ノッコミの真鯛をラバージグで狙うことは、ある意味私の釣り人生におけるライフワークのようなものである。

この日の客は僅かに4人。四隅に客、胴の間にUG、YKの新旧キャプテンがそれぞれ釣座を構える。

なんだか懐かしい。

タイラバがここまで流行る以前、UG船長が竹岡式の中オモリ+テンヤの仕掛けを手バネでしゃくっていた頃、第二忠丸船上は、いつもこのようにゆったりと時は流れていた。

ある日客が私しか現れず、道具借りてフグ船に乗ろうとしていたら、

「何言ってるんだ、いくぞ」

とUG船長は私と中乗りエストシ君(仮名)だけを乗せて沖に出てくれたこともある。

ちなみにその日もいつも通り残業してくれ、おまけに釣果は船中ゼロだった。

最後に猿島で釣ったカサゴを、ほろ苦い思いで美味しく頂いた記憶がある。

 

もうこれで充分だった。

釣果なんてどうでもいい。

天気は快晴、風もなく海はベタ凪、汚れてしまった心の洗濯はバッチリだ。

 

この日のスタートは第二海堡周りの、40m前後から。

いや、油断してたな。

小さなホウボウを釣り上げた直後、10m巻いたところで巻く手を止めクラッチを切ろうとした瞬間にアタリ、慌てて再度巻き始めるとラッキーなことにヒット!

しかしこれが糸が出される一方で全く巻けない、つまりはかなりの良型だ。

少しドラグを締めようとハンドル止めた瞬間にバレた。

いやー、まだ掛かりが浅かったかぁー。無念。

不幸中の幸いはキャプテンにこのシーンを見つからなかったということ。三密を避けることは、「見つ」からない、という効果もあるようだ。

 

次の流し、フォールを引ったくるようなアタリ、巻くと首尾よくヒットしていた。

アタリ方といい、一直線に暴走するスタイルといい、真鯛らしくはなかったのだが、そのうち頭を振る感触、そしてやり取りの据え残り20mを切ったらおとなしくなり、あっ、このパターンは...。


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3.7kg、オスの真鯛でした。

良型のオスって以前にも何度かこのパターンがあったなぁ。

大型のオスは、メリハリあるメスの引きとはちょっと違う気がする。

 

その後はアタリもなく潮止まり。

折り返しの上げ潮も暫くは真鯛からのコンタクトは皆無。

 

それは14時過ぎのことだった。 

キャプテンの「上げて!」の合図の1秒前にアタリ、そしてヒット!

今度は真鯛と確信できるアタリ方と引き味、上がってきたのは1.5kgのこれまたオスの真鯛であった。


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ちなみに私のヒットの直後に二人連続ヒットもあり、「上げて!」の合図を撤回して良かったですね、うふふ。

 

「コロナで色々ありますので、定時で仕舞っていきます」とキャプテンがアナウンスした瞬間に、唯一本命の型を見ていなかったミヨシのアングラーに本命がヒット、そして良型を無事にキャッチの劇的な幕切れ。

キャプテンの声は真鯛のヤル気スイッチをオンにするのかもしれないなぁ。


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【釣果】
7時10分出船、15時沖揚がり

真鯛2枚(3.7kg、1.5kg)

外道:ホウボウ3尾

 

【タックル】
ロッド:ZENITH零式 LIGHT G-TOP L

リール:DAIWA RYOGA BAY JIGGING C1012PE-HWL
ライン:PE0.8号、リーダー:フロロ4号

<キャスティング>
ロッド:Major Craft GIANT KILLING S73L/TR
リール:SHIMANO Vanquish C3000
ライン:PE0.8号、リーダー:フロロ3.5号

 

【本日の総括】
この翌日、野毛屋釣船店は、ゴールデンウィーク期間中の自主休業を発表した。

この日、テレワークをせず、代休を取得して沖に繰り出したことは、結果的に大正解だったと言えよう。

 

緊急事態である。

自粛もある程度やむを得ないだろう。

しかし、右向け右的な自粛要請は、単なる同調圧力のような感じがしなくもない。

良くも悪くも日本的というか...。

 

一般によく言われることだが、多くの精神科医鬱病患者に安易に休職を勧めるが、復職させるプログラムを持たないそうだ。

出口を見据えた戦略と場当たりな選択は、同じ自粛でも全く異なるだろう。

 

個人的にはスウェーデンの集団免疫獲得を目指した政策が、一番納得出来る。あくまでも個人的には、だ。

歴史から学ぶとすれば、疫病、戦争、天災など、無作為な淘汰は一定のスパンで起こる。

勿論私が淘汰される側にカウントされる可能性だって常にある。

しかし、いかに残酷であろうとも、選択することが出来ないのが運命という一面も、人生には確かにある。

 

私はゴルフはやらないが、例えばカートを利用しなければ、例えばクラブハウスを利用しなければ、感染のリスクはとても低いレジャーだろう。

船釣りもまた然り。

止めるべきは止めなくてはならないが、止める必要のないものは動かすべきだと私は考えている。

 

それでも世の中は一億総自粛ムード。

欲しがりません、勝つまでは。

という大正・昭和のメンタリティは、令和の世にあっても変わらないようだ。

 


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さて、良型のホウボウは、最近の専らこの料理法。

ムニエルのバルサミコソースである。

作るの簡単なのに、かなり旨い。


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一晩寝かした真鯛の刺身。

神経絞めを施した身は、食感こそ良かったものの、旨味も甘味も少し物足りないもの。

オスだし春だし仕方ないかな?

勿論、スーパーや居酒屋の真鯛よりは遥かに旨いですけど。

 


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カマの塩焼きから鯛の鯛をほじくりだした。

 

東京湾真鯛たちよ、ゴールデンウィーク期間中に思い切り産卵をしてくれたまえ。

君たちを狙う船は来ないのだ。

そして子孫を繁栄させ、将来の俺を楽しませてくれ。

俺が淘汰される側にならなければね。