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ルサンチマン・・・千鯛丸(千倉)

いつしか私は私自身の人生を祝福することを忘れ、心のなかに魔太郎を住まわせてしまっていたようだ。

 

仕事運の低下、釣り運の低下、作曲活動は壁にぶち当たり、楽しみにしていたゴールデンウィークの欧州旅行も絶望的な状況。

負の連鎖によって、恐らくは私のなかの何かが蝕まれていたのだろう。

 

ところで、カラマーゾフの兄弟のなかで、アリョーシャがコーリャという少年に、「君は将来とても不幸な人間になります。でも総体としては人生を祝福して下さいね」と告げるシーンがある。

もしも私がコーリャだったらアリョーシャに暴力的な制裁を加えるところだが、この印象的なシーンは村上春樹の小説にも引用されている。

村上春樹の小説のなかで、その名の無い主人公は「限定された人生には限定的な幸福があるのだ」という結論に辿り着く。

アリョーシャはそこまで説明してくれなかったが、これは真理だ。

 

自らを相対的な弱者に設定して、強者や権力者に怨み辛み妬み嫉みを抱くのは、ネガティブな感情のなかでもとくに質が悪い。

この手のルサンチマンに、もしかしたら私自身が囚われていたのかもしれない。


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中一週で前回ボウズを喰らったトーマス・マン的な魔の海、千倉に繰り出した。

虚心坦懐にヒラメとマハタを狙うために。

 

すると、朝イチの一投目でいきなり2.4kgのヒラメが釣れてしまった。

どうやら魔太郎は魔の海にお引き取り頂いたようだ。


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昇る朝日も私を祝福していた。

 

2kg超えのヒラメを1枚確保したら、ヒラメ釣りはもう充分だ。

肉厚のヒラメの歩留まりは良く、この1枚で私と年老いた両親の胃袋を満たすには充分過ぎるのだ。

 

となると私の狙いはマハタのみ。

タナは常に2~3m底から浮かせたマハタオリエンテッド・ゾーンを攻め続ける。

 

このゾーンでもヤル気のあるマトウダイが食ってきた。

ヤル気がある故か、良型だった。

 

更に驚いたことには、終盤に超ヤル気のあるヒラメまでもが食ってきた。

1kg程のサイズだったがヤル気がある故か、引きがヒラメらしからぬ暴れっぷり。

おまけに一気に食い付いてフッキングした為に、上がってくるまで私はマハタと信じて疑わなかったほどだ。

 

肝心のマハタは一度良型らしきビッグヒットがあったが、掛かりどころが悪かったのか無念のバラし。

あとはノーコンタクトだった。

 

船中でもマハタは小型しか上がっていないことに納得のいかない船長は、30分の残業を敢行したが、結局この日はマハタに恵まれず時間切れ。

一人あたり20尾支給されるイワシ餌も、私は10尾の使用に留まり、根掛かりによるオモリのロストもなく、ある意味で地球環境とイワシの尊厳に配慮した釣りとなった。

良いことだ。

 

【釣果】
5時20分出船、12時沖揚がり
ヒラメ(2.4kg、1.1kg)、マトウダイ


【タックル】
ロッド:DAIWA 早舟ヒラメ M-270
リール:DAIWA SALTIGA-Z30L
ライン:PE3号、リーダー:フロロ40lb

 

【本日の総括】
長かった拡張工事の終わった館山道は竹岡まで片側二車線化され、南房までのドライブはより快適になった。

時間にしたら5分も変わらないようなものなのだが、時に遅いトラックを延々と追随しなければならない片側一車線の高速道路とは、精神衛生的には大きく異なる。

ついついアクセルを踏みたくなるが、新しい道路には何処にオービスがインストールされているのか分かったもんじゃないし、勿論夜道では猪にだって気を付けなくてはならない。

油断は禁物だ。

でも千倉との心の距離が縮まったことも間違いない。

 

この日捕り逃したマハタを捕獲するために、近々再訪する必要がある。


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ヒラメは2.4kgと1.1kg、マトウダイは1.3kgあった。


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2kgオーバーのヒラメのエンガワは本当に旨い。

残りシーズンは1ヶ月。

状況は待った無しだ。