いきなりステーキ茗荷谷店へ通うことがある種のルーティンとなったことで、文京区小日向界隈を散歩することも副次的に習慣化された。
職場からの距離はとても近いものの、完全な住宅街であるこの地域には今まで全く馴染みがなかった。
実際に歩いてみると、矢鱈と坂道が多く、かつ道が細く、瀟洒な住宅が建ち並ぶ閑静なエリアで、実に散歩に適していることを発見した。
道が細いので交通量が都内とは思えない程少なく、静けさがより際立つ。
そして坂道トレーニングは将来のトレッキングへの準備にも繋がる前向きな行為だ。
住宅の庭の紅葉が真っ赤に色付いていた。
若かりし頃は、枯れた葉を眺めて何が楽しいのだろうと冷めた目でみていた紅葉狩りも、自らが枯れてくると巡る季節の有り難さと相俟って、実に心に沁みるものである。
通勤電車並みの混雑ぶりの高尾山などに行かなくても、唱歌の「小さい秋」よろしく身近な紅葉を楽しむ方が余程粋だと思う。
決まったルートを作らず、気紛れな角で曲がってみるのもまた楽しい。
但し、この辺りの道は変則的なので迷ってしまうことも少なくないのだが。
でもまぁ、迷ったっていいじゃないか。
急いでオフィスに戻ったところで、私を待ち受けているものはどうせロクでもないものばかりなのだから。