その夜遅く帰宅した私は、ソファに深く腰掛けた時に腰の下というか尻の上が痛むことに気がついた。
確認すると赤い湿疹のようなものが2箇所に出来ており、更に太ももにもいくつか水ぶくれのような発疹があるのだった。
痒い発疹なら幾度となく経験しているものの、痛い発疹というのは初めてであり、これはもしかして厄介なヤツかもしれないと疑いだした。
ビールを飲みながらパソコンで帯状疱疹を調べると、私に出来た発疹によく似ていた。
翌日、午後イチで会社の近所の皮膚科に行き診てもらうと、果たして帯状疱疹であった。
「今から入院出来る?」
「え?流石にそれは…」
帯状疱疹であったことは予想通りではあったのだが、超早期発見の軽症を確信していた私に意外すぎる言葉が医者から投げかけられ、正直固まってしまったのだった。
「発疹の場所が悪いんだよね」
私に出来た発疹の場所が、肛門及び膀胱に近く、この場所でウイルスが増殖して神経をヤラれてしまうと、排泄に重大な障害が出る可能性が高いとの診断だったのだ。
「明後日朝イチで来れる?」
30年に及ぶ皮膚科医師としての臨床経験から、帯状疱疹をナメるといかに危険なのかということを過去の例からトクトクと聞かされた私の気分は沈んだ。
とりあえず治療の1タームは7日間だが、2日後の朝に悪化していたら即入院して点滴治療、のみ薬が効いて症状が抑えられていたら薬を追加してとりあえず7日間の1クール治療を継続という診断になり、3日分ののみ薬と塗り薬を処方して貰い終了した。
気をつけるべきことを念押されたが、
①睡眠をしっかりとること。出来れば8時間以上。
②栄養をしっかり摂ること。
③残業禁止、とにかく無理はしないこと。
④アルコール厳禁。
⑤運動厳禁。
④と⑤は守れそうにないので、①、②、③はせめてしっかりと守ることにしよう。
さて、その夜、いつものようにビールとワインとオツマミという定番夕食を済ませてから早めに寝たのだが、帯状疱疹の症状のひとつである神経痛というらしきもの、即ち左脚の色んな箇所に断続的にズキッという痛みが走り、度々目が覚めた。
そして翌朝、激しい運動は駄目でもスロージョギングぐらいなら良かろうと、着替えて走りに出たのだが、リンパ節の腫れ、断続的な左脚の神経痛、頭痛、不快感、倦怠感で2kmでストップ、とてもじゃないけど走れるような状態ではなかった。
帯状疱疹恐るべし。
発疹は帯状には拡がらず、少ししか出ていないので発症場所の悪さはさておき軽症であるはずなのだが、こんなに全身に影響が出るとは。
週末は諏訪湖にランニング合宿に行くことを予定しているのだが、これは中止せざるを得ないかもしれない。
代わりにトリミングを終えて可愛くなったシーズーの福ちゃんに癒されに、実家に行くかな。
出国まであと3週間、次のレースまであと4週間、なかなか絶望的な状況になってきた。
サブ4どころか完走も危ういぞ、これは。