母方の祖父母の眠る街、私にとっての第2の故郷鹿児島。
この鹿児島の街を舞台にしたマラソン大会があることを知ったのは昨年秋のこと。
いてもたってもいられずに即申し込み、この日の為に12月以降をしっかりと準備を整えてきた。
目標タイムは3時間50分、それに失敗しても3時間55分は死守し、最低でも自己ベストは更新したいところ。
花粉症の症状が酷いものの、脚の調子は良く、入りの5kmを28分(1km5分35秒)、5km~10kmも28分、その後は1km5分25秒の3時間50分ペースで淡々と刻み、30kmから上げてネガティブ・スプリットでの3時間50分切りを目指す作戦でいってみましょう。
スタートは8:30なのだが、手荷物預かり所が7:45クローズなので、身体を冷やしすぎないようにコンビニで買ったレインコートを来てスタートを待つ。
ウェーブスタートを採用していないが、私に割り当てられたCブロック内の前寄りのポジションを確保出来たので、号砲からスタートゲートまでは思いの外近く、ロスタイムは90秒程だった。
スタートの混雑が解消されたところでスルスルと前に出て、サブ4ペーサーの後ろにつける。
私のプランでは、10km過ぎてからサブ4ペーサーを抜くイメージなので、それまでは頭を空っぽにしてこの付近を走っていれば良いのだ。
市街地はフラットだと思っていたのだが、潜って跨いでという立体交差のアップダウンが続く。
実はこれはメタファーであり、不吉な予言でもあった。
海沿いの道に出ると、フラットな部分が殆んどない緩やかなアップダウンが延々と続く心身が削られるコースとなった。
そして、市街地より道幅が狭くなったのでコースの混雑も酷いことに。
更に登り坂で極端にペースが落ちるランナーが結構いて、余計な距離を走ることになるもののジグザグ走行を余儀なくされる。
13km地点でサブ4のペーサーの前に出たら、人混みがある程度解消されて走り易くなった。
サブ4狙いは市民ランナー最大のボリュームゾーンだと再確認。
そしてペーサーの前が狙い目なのは新たな発見だ。
中間地点のラップはネットで1時間56分。
まさにプラン通り。
とは言え、少しペースを上げて後半を1時間54分以内で走らなければ、3時間50分は達成出来ない。
そんな訳で折り返し直前の25km地点で予定より5km早く少しペースを上げてみた。
おっ。
息遣いの荒いランナーや、脚が止まってきたランナーをもの凄いペースで抜き始めた。
25kmから26kmのラップは5:02。ちょっと速すぎるかもと5:10まで落とすも、それでも抜く、抜く、抜く。
30km通過、余裕あり。
更に少しペースを上げてみた。
延々と続くアップダウンにも慣れてしまい、何も感じなくなってきた。
37kmを過ぎ残り5kmの表示、まだ脚に大きなダメージが無いことを確認したら、スパート。
この最後の一番苦しいところで閾値ペースで走れるということは、もしかしたら前半抑え過ぎたのかもしれないし、あるいは脚と体力を温存した恩恵かもしれない。
カーブを曲がるとゴールゲートが見えた!
最後は更にスピードを上げてゴール!
3時間50分切りを目指したレースだったが、ネットで3時間45分を切ることが出来たのは望外の結果だ。
ラストスパートで燃え尽きて身体より内臓に大ダメージ、フィニッシャーにはおにぎりと餃子の無料サービスがあったのだが、胃が受け付けず、代わりに公園の出店で生ビールを買って独り静かに祝杯をあげた。
大好きな鹿児島で、自己ベストを大幅に更新出来た喜びを噛み締めながら。
ホテルでシャワーを浴び、レースウェアの洗濯を済ませたら、タクシーを拾って親戚宅へ。
親戚宅の近くから見えるこの桜島こそが、私の原風景だ。
第二の故郷で、会心のレース。
また鹿児島で走ることは出来るだろうか?