夏が終わる。
日増しに日が短くなってくる。
しかし、もう一度ラスボスと対峙しなくては、この夏は終われない。
私は護国寺のMENSHOを目指した。
あったー!
名前が長くておぼえられないけど、雲丹と薩摩牛と揚げゴボウはじめ幾つかの野菜が乗った、トリュフオイル香るとうもろこしの冷たいラーメンである。
お値段もびっくりの 2000円。
なにしろ2度目ですからね。
もういちいち驚く必要はないのだ。
虚心坦懐に奇跡のハーモニーと向き合う。
ううむ、これは、
新たな数式の発見である。
新たなコードの発明である。
新たな文法の創出である。
新たな文化の誕生である。
模倣の先に、もう少し噛み砕くと、模倣の勘違いの果てに、もしくは模倣に毒を加えた後に出来るのが、オリジナリティというもので(バンドマン的発想)、殆どの創作とはそういうもののはずなのだが(バンドマン的限界)、この奇跡の1杯は模倣の先ではなく、道なき道の先にたどり着いたひとつの到達点である。
紛うかたなく天才にしか出来ない仕事だ。
締めの追い飯。
完璧。
そして完全なる壁。
麺の1本、米の1粒、スープの1滴までも残したくないような幸せのラーメン、来年も出会えますようにと言いたいところだが、進化を止めないMENSHO、来年は違う種類のとんでもない限定が出てくるに違いない。
もう何が来ても驚くまい。
このメニューに限らず、常に虚心坦懐にこの店と向き合うことが、私にとっての正解だということは分かった。