お前はバカか!
と切り捨ててしまうことが出来たら楽なのだが、生憎としがないサラリーマン風情には、黙って遣り過ごすことが一番の解決策なのだった。
しかし、自分の頭で1mmもモノを考えない輩に振り回されるのは、実に下らないものである。
プロレタリアートとは本質的に悲惨なものだ。
しかしその本質的悲惨さに気が付かず、権力と幻想に盲従しているヤツらよりはまだマシだと、自らを慰める。
いささか心が荒んでいることを自覚した私は、気晴らしに国民酒場に立ち寄ることにした。
赤星大瓶430円。
ほうれん草と油揚げのあったかタヌキ仕上げ、250円。
アマビエ、じゃなかった、甘エビ唐揚げ350円。
酎ハイBIG510円。
締めて、1540円は値上げして尚安い、国民酒場を名乗るのは伊達ではない、じぃえんとるまんは真に国民の味方だ!
しかし、私の心は全く晴れなかった。
思うにこの日のじぃえんとるまんでは、いつものフレンドリーな空気ではなく、少しぎすぎすした空気が流れているように感じられた。
勿論、飲み屋の磁場とは、店員と客の双方によって醸成されるものなので、もしかしたら荒んだこの日の私の心持ちが、空気を悪くすることに寄与してしまったのかもしれない。
反省、反省。
酒は楽しく、切り替えは早く。
スマホに保存してある、年老いた母に抱かれて安心しきった元保護犬の写真に癒されながら、私は帰路についた。
犬も笑うんだよな。