ミャンマーのクーデターから2ヶ月あまり。
暗澹たる気分が続いている。
2018年末から2019年始にかけて旅したミャンマーの記憶新しく、旅でお世話になったり関わったりした人々を思い出さずにはいられないのだ。
何かアクションを起こしたいのだが、何をしたら良いのか分からずにモヤモヤしていた。
そんな折りに、ミャンマーに関わりの深い作家の高野秀行氏が、講談社現代webに寄稿した文章を読んだ。
三回に渡る連載形式のその記事は、
機会があればミャンマーレストランへ行って美味しく食べ、最後に「頑張って下さい」と声をかけてください。それがミャンマーの人たちへの何よりの支援になりますから。
と結ばれていた。
そうだ、ミャンマー料理店に行こう。
私は前職の同僚で、私同様にミャンマーを一人旅したことのある古い友人を誘い、曙橋のミャンマー料理店、ゴールデンバガンにお邪魔した。
この店も高野氏の推しの店のひとつだが、よく利用する都バスの車窓から見えるので、その存在は随分と昔から知っていたのである。
お通し。
高野氏のお気に入り、豚肉と発酵タケノコの煮込、白身魚のバナナの葉蒸し、そして私のリクエストの発酵ソーセージ。
これらは全て少数民族シャン人のシャン人によるシャン料理なので、私はいずれもミャンマーで食べたことのないものばかり。
しかし、スパイスと香草の効いた紛うかたなきアジアの料理、旨い。
そして締めはミャンマーの国民食、モヒンガーを頂きます。これは懐かしい味だ。
高野氏が件の記事の中で「まるで学級委員」と書いていたオーナーのモモさんともたくさん話をした。
とんでもない話もたくさん聞いた。
でもそれは書かない。
クーデターは支持しない、軍の行為は許されない、民主主義の為に闘うミャンマーの人々を断固支持すると伝えた。
そして、店の募金箱に幾ばくかの寄付をした。
そうだ、これでいいのだと思った。
自分の手の届く範囲、自分が手渡せる範囲で出来る支援に、手応えと実感がある。
クラウドファンディングにだって当然意義はあるけど、例えばその高い手数料には何か納得が出来ない気持ちが残る。
それに何か免罪符的というか、だったら香港は?タイは?そもそも東北や熊本の復興だってまだ道半ばでは?と言った具合に、次から次へと支援すべき案件が浮かび、混乱してしまう。こうなっちゃうと身動きがとれないのだ。
距離感も大事な要素だ。
やらぬ善よりやる偽善が尊いとしても、24時間テレビには関わりたくない。
やはり手応えと距離感の問題なのだ。
終わりの見えないミャンマーの危機的状況は、残念ながら暫く続くだろう。
だったら私は折りに触れてミャンマー料理を食べに行き(実際ミャンマーで食べたどのミャンマー料理店より旨い)、支持の気持ちを伝えよう。
これでいいのだ。
いや、ミャンマーの現状はちっともよくないのだが。
写真はミャンマー旅行の時にバガンで丸二日チャーターした馬車。
馭者のウチェさんと、牝馬のミンニョ。