台風を思わせるような荒天の土曜日。
我が家から見える多摩川は、昨年の台風の時のように河川敷まで溢れてはいないものの、それでもかなり増水していた。
風雨が収まった後に、小笠原諸島を震源とするマグニチュード6.9の地震があり、我が家も多少揺れた。
ニュースでは、この日も東京都で181人のコロナウイルス感染者が確認され、フリーアナウンサーの赤江珠緒も感染し、国内の感染者が1万人を超えたと報道されていた。
なんだか殺伐とした気分になったきた。
虚無感に支配されそうになってきた。
身体に悪いことをやってバランスをとろう。
私は開いていることを祈り、矢口のラーメンビッグを目指した。
17時半過ぎという中途半端な時間帯にも関わらず、店内には6名もの先客(4人連れ家族含む)がいた。
そしてワンオペの店員さんは、マスクも付けず、大声で常連さんとトークに華を咲かせている。
意識高い系のみならず、今の状況なら多くの人が眉をひそめそうなシーンだが、これでいいのだ、という気がした。
何故ならば、私の殺伐とした気分と虚無感は、ここに来ただけで明らかに軽減されたのだ。
セルフサービスのビール。
卓上にはラーショ系ならではのおろしニンニクとラージャン、そしてお酢。
チャーシューメン並。
私の麺硬めコールは華麗にスルーされたようで、ぐにゃぐにゃ。
アルデンテ原理主義を患っている私には残念なものだったが、この店のデフォルトを知っておくことも必要なのかもしれない。
勿論、次回以降はもっと大きな声で硬めコールしますけどね。
ラーショ系のなかでも特にライトなスープ、しかしその奥にしっかりとした旨味が感じられる。
いや、本当に旨いね、これ。
出汁をとった後の出涸らしのようなチャーシューも、シンプルでとても旨い。
半分ほど食べたところでラージャンとおろしニンニクを投入して味変。
嗚呼、幸せの味がする。
多くの飲食店が自粛に追い込まれ、ラーメン店も例外ではない。
営業を続けている店も、座席数を減らしたり、メニューを限定したり、色々と悩み、工夫しながら続けているような印象だ。
しかし、この店にはいつもと変わらぬ日常があった。
それはもしかしたら誉められたことではないのかもしれない。
しかし、誰に非難する資格があるのだろう?