長年、と言ってもたかだか5,6年のことだけど、研鑽を積むために通っていた池袋の街とのお別れが近付いている。
池袋は職場からは近くて通いやすいのだが、オフィスから見ると我が家と正反対の方向にある。
管理部門に異動となり勤務時間のフレキシビリティが著しく低下した私にはむしろ通いにくい場所であり、来月から帰り道にある有楽町に転校することにしたのである。
そんな訳で池袋の飲み屋とも疎遠になることは間違いなく、独りお別れ会のつもりで酒場ふくろの暖簾をくぐった。
口開けはスーパードライ大瓶。
へー、東京2020公式ビールなのか。
個人的にはオリンピックの東京開催を全く支持しておらず、私の好まないこの銘柄に得意気に印刷されたエンブレムを、鼻白む思いで見つめた。
湯豆腐とロールキャベツ。
去り行く冬を名残惜しむには最適なメニュー。
やはり酒場には冬が似合う。
留萌名産のニシンの塩焼があった。
これ、相当なボリュームである。
そしてお腹の中にはたっぷりの真子が!
すわっ、数の子!と興奮するも、数の子になる前のニシンの卵は何の旨味もない、単なる魚卵であった。
大瓶1本、ホッピー2杯でお会計。
これが最後の訪問かもしれないが、それでもこの手の大衆酒場では長居は不粋である。
さよならだけが人生だ。