(承前)
三泊四日の短いウラジオストク旅行、最後の夜はガイドブックで絶賛されていたジョージア料理の人気店、スプラに行ってみますかね。
「...。」
ドアを空けるとラーメン二郎並みの大行列、しかも並んでいるのはほぼ韓国人じゃないですか。
私はそっとドアを閉じた。
SIMフリー携帯を駆使して調べると、ここから僅か徒歩3分の場所に、別のジョージアレストランがあることを発見した。天国かよ、ウラジオストク。
とりあえず行ってみよう。
なんだ、この完璧なコントラストはwww!!!
あっちは大行列、こっちはなんと客0ですよ、0!
象徴としての0ではなく完璧な0、本当に客が誰もいないのだ。
大柄で横柄で可愛げの欠片もないロシア人女性店員の投げ遣りな接客が多少気にはなったが、とりあえず窓際の席に座った。
渡されたメニューを見ると、驚いたことになんと全てハングルで書かれている。
ウラジオストクとは、過去は先住民族が西からやってきたロシア人によって占領されロシア化した街だったはずだが、今や韓国人が経済的にロシア人を支配してしまった街なのかもしれない。
実際街のあちこちでハングルの貼り紙やら看板を見かけた。
店員を呼んで、私は韓国人じゃないし、ハングルも読めないので英語のメニューをくれたまえ、と頼んだところ、彼女はハングルの下にある小さな字の筆記体を指差したのだった。
この店は韓国人をメインターゲットにしているのだろう。もしかしたら頼めばキムチが出てくるかもしれない。
料理の写真もないし、字は小さくて読みにくいし、よく分からないのでメニューを放棄して口頭で注文。
ヒンカリは4個セットのものしかないとのことでパス、結局代わり映えしないのだがハルチョとハチャプリをオーダーした。
なんと昨日行ったサツィヴィにはない、ジョージアビールがありました。
ロシアビールにはない深いコク、旨い。
昨夜のサツィヴィと比べると、ハルチョは2倍、ハチャプリは3倍はありそうだ。
そうだ、このボリュームこそがジョージア料理だ!
ハルチョは具沢山で米もたっぷり、ハチャプリは大量のチーズが埋没し中央の卵は半生、これこれこれこれ!求めていたものはこれだ!
昨日のサツィヴィで頂いた洗練されたジョージア料理も勿論最高なのだけれど、私にトビリシの夜を鮮やかにリマインドさせたのは、明らかにこちらだ。
やべえ、最早ジョージアの一部だよ、ここは!
私はとても嬉しかった。
客が0で韓国人にフォーカスしたメニューを見たときには私の期待値も0に下がったのだが、提供された料理は紛れもなくジョージアのそれ。
もう我慢出来ない、ビールおかわり!
半端ないボリューム感に2品で満腹となり、やはりヒンカリ4個はパスして正解だった。
これだけで私はすっかりと満足した。
フライトは往復35,000円ポッキリ、国内旅行と大差ないか、むしろ沖縄行くよりも安いのである。
最後の夜とはいえ、私はバーには行かず(ウラジオストクには沢山のバーがあった)、酒屋でジョージアワインのボトルとヒューガルデン(なんと1本150円!)、そして幾ばくかのツマミを買ってホテルに戻り、本を読みながらのんびりとワイン(とビール)を堪能した。
ジョージア、on my mind.
in vladivostok.