Everything in Its Right Place(SUB3.5 or DIE)

マラソン(PB3:36:04)、バンド(ベース担当)、海外独り旅(現在26ヵ国)、酒(ビール、ワイン、ウイスキー)、釣り(最近ご無沙汰)をこよなく愛する後期中年者の日常。

DD-Vineyard収穫祭

誘って頂きありがとう!


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収穫祭に、誘って頂き、本当に、ありがとう!

 

DDV夫妻(仮名)とワイン仲間達に混ぜてもらい、ワインど素人の私も、DD-Vineyard(仮称)2回目の収穫祭に参加した。

道に迷って若干遅刻したことは、この際不問に付して頂くことにする。

だって今日は目出度い日なのだから。

 

手慣れたDDV婦人(仮名)のレクチャーを受けてから、私も収穫スタート。

ただ摘めばいいわけでなく、状態の悪い粒、育ちきることが出来なかった蒼い粒を、ひとつひとつ丁寧に切り落としていく。

あのズボラなフランス人とイタリア人が、こんな細かい作業をしていたとは俄には信じがたい。

ラテンの人々は、食べることと飲むことに対する情熱は凄いのだな。

そして老眼の進行で近くが見えず、アル中の悪化で指先の震える私には、この細かい作業が大変な苦行だということも発見だった。

視点と手元が狂い健康な粒も幾つか落としてしまったのだが、土が付いたブトウはワインにならないので食べっちゃっていいとDDV婦人(仮名)はいうのだった。

初めて食べたメルローは、グレープというよりはベリーのような風味で、ワインのキャラクターからすれば思いの外控えめな主張の旨い葡萄だった。


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葡萄が箱にたまっていく。


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まだまだ葡萄はたわわに実っている。

摘む。摘む。摘む。


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お昼前には無事に全ての収穫が終わった。

去年の12倍にも及ぶ収穫量だったとのこと、DD-Vineyardは右肩上がりの成長率だ。

昼までには上田を発たなければならない私には、この記念すべき収穫祭に最後まで立ち会えたことは望外の喜びだ。

 

15年に及ぶ暗黒との格闘の末、生き方を変更したDDVセンパイ(仮名)が、ここに至るまでの過程/道程を知っている私としては、私自身には何も出来なかったにせよ、感無量なのだった。

 

ところで私には何も出来ない、という無力感を肯定することは、時として実はとても大切なことなのではないだろうか?

無力感と創造力は相克するのだ。

ネガティブを栄養にしなければ、ポジティブは産まれない。絶望は創造の母だ。

無力感を味方に出来ない人間が、ニヒリズムシニシズムに絡め取られていく。

 

DDVセンパイ(仮名)にも仲間達にも、そしてこの私にもニヒリズムが巣くっていないことを葡萄畑で唐突に突き付けられて、私は上高地の神に感謝した。

収穫とはやはり祝祭であり、祭りなのだ。

 

センパイ、是非来年も手伝わせてください!

 

そして私も自らの葡萄の実を育ててワインを造るべく、更に曲作りと録音に勤しもうと決めたのだった。

 

ワイナリーに葡萄を運ぶというDDV夫妻と仲間達とはここでお別れ。

 

私は農協の直売所に立ち寄り、年老いた母にお土産のリンゴ、梨、葡萄、信州そばを買い求め、東京へと進路をとった。

 

信州ツアー2021秋、終了。

千曲川ランニング

翌朝の収穫祭に備え、前夜折角8時に切り上げたのに、若干飲み足りない感じがした私はワインのハーフボトルを求めてホテルへの道すがらコンビニに立ち寄ったのだが、生憎とハーフボトルが売っていなかったのでフルボトルを購入した。

 

そして酒飲みの心理として、開けたボトルは空けなければ収まらず、結果泥酔した。

 

そんな訳で目覚まし鳴った後に直ぐには動けず、グタグタしてしまったけど、少しだけでも千曲川沿いに走っておきたいところ。

 

フロントに鍵を預けてゆっくりと走り出す。


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清流と日の出。

北東方面に見える高い山は、浅間山かな?

 

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ホテルに戻ったところでぴったり5kmとキリが良かったものの、だいたいいつも5kmぐらいでアルコールが抜けて快調になるので、駅方面に少し走り1km追加、6kmでフィニッシュ。

諏訪で走り、松本で走り、上田で走る長野旅ランはこれにて終了。

 

風呂、洗濯、朝食を済ませたら、さぁ、ホテルをチェックアウトして今回の旅のメインイベントへと向かいます。

鯉西つけば小屋(上田)

ホテルルートイングランド上田駅前にチェックイン、松本マラソンで濡れたウェアをコインランドリーで洗い、大浴場でゆっくりと汗を流して温まる。

芯まで温まり筋肉を解してから、ビールをプシュッ。ふー、極楽、極楽。

 

さ、では夕食に出掛けますかね。


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千曲川サンセット。


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やってきたのは間もなく今年の営業を終了するという、鯉西つけば小屋。

昨年は最終営業日に訪れたので、約1年振りですな。

ここでDDV夫妻(仮名)と待ち合わせだ。


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お通しと、鯉のあらい。

ビールでカンパーイ!


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鮎刺し。

肉厚で旨い。


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稚鮎天ぷら。

さわやかな苦味が旨い。


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ブラックバスの唐揚げ。

思いの外上品な味、旨い。


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鮎の皮の唐揚げ。

これは我々が頼んだ刺身を造る際に剥いたのだそう。旨い。


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鮎の塩焼き。


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岩魚骨酒。

いやー、これがしみじみと旨い。

注ぎ酒を頼むと酒のみならず新たな岩魚塩焼きが追加され、更に風味が増していく。

いくらでも飲めちゃう。

 

明日は収穫祭につき深酒は禁物、日本酒のベタつきをビールで洗い流し、8時頃には切り上げた。

 

しまった、大好物の鯉こく頼むのを忘れていた!

まぁ、いいか。

上田をまた訪れることは決まっているのだ。

数年前までは脚を踏み入れたことすらなかった上田も、今回実に4回目の訪問なのだから。

 

ではまた明日。

十割蕎麦 奈賀井(上田市)

松本空港から国道143号線を走って上田に向かう。

 

道沿いには店の類いは殆どなく、トンネルと峠道が続くのみ。中信と東信を結ぶ山越えルートだ。

 

腹減ったなぁと漠然と感じ始めた頃、唐突に蕎麦屋が現れた。

それがこの奈賀井。


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鹿教湯温泉付近の何もない不便な場所に、敢えて出店するとは相当な自信の現れとみて車を停めた。


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全て十割蕎麦を謳う同店、メニューがやたらと多い。


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更科蕎麦、丸抜き蕎麦、田舎蕎麦の三色蕎麦を注文。

長野県の蕎麦屋は総じて量が多く、頼もうかどうしようか悩んだ天ぷらは見送って正解だった。

 

蕎麦の色が濃くなるにつれ私の好みになる。

三色蕎麦を食べ終えた私は、もしこの店を再び訪れる機会あらば、田舎そばにしようと思った。多分ないだろうけど。

それから更科蕎麦は十割蕎麦にはあまり向かないかもしれないというのも発見だった。

つなぎを使ってツルッと仕上げた方が、更科感が出るのだと思う。

一方で、ボソボソした十割蕎麦の食感と田舎蕎麦はよく合う。


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この濃厚な蕎麦湯の旨いこと。

いやー、幸せ。

 

会計を済ませてドライブ再開。

 

14時にはホテルに着いてしまい、チェックインまでの暇潰しに上田駅近辺をぶらぶら。


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ビーン(死語)。

美味しい駅蕎麦のちくまが閉店してるじゃないか!

フラッグシップメニューの鹿ソバ、食べたかったなぁ...。

 

いつまでも、あると思うな、親と金とちくま。

上田の哀愁。

信州スカイロード一周ラン(松本市)

10月3日に予定されていたものの、コロナのせいで中止になった松本マラソン2021。

嗚呼、私の人生初マラソンとなるはずだったのに。

 

ところで、信州まつもと空港をぐるりと囲む多目的施設信州スカイパークに、空港の外周をぐるりと周る「信州スカイロード」という全長10kmのジョギング/サイクリングコースが整備されており、この信州スカイロードも松本マラソンのコースの一部なのであった。

そうだ、レースの一週遅れで松本市まで来ていて、ここを走らないという選択肢はないな。

予定されていたレースの一週遅れで、コースの一部を走るというのも乙なものではないか。


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空港ターミナル近くにあるスカイドームという施設の近くに車を停めて、ランニング開始。

朝10時過ぎで気温は25℃を超えている。

この気象条件、もしもレースが開催されていたら、とんでもなく過酷なレースになったのではないだろうか?


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キロ6分半のゆったりペースから入り、ラスト1kmをキロ5分まで上げるビルドアップで10km完走。

全身汗まみれで、したたる汗が靴を濡らす。やはりこの気象条件でこの4倍の距離を走らねばならないとしたら、私はリタイアしていた可能性が高い、いや、リタイアしていたに違いない。

 

この場合、中止が吉と出たと判断すべきなのだろうか?

 

ところで走り終えて困ったのは、信州スカイロードの問題点として、ランニングステーションに相当する施設が見当たらないということ。

いや、探せばあるのかもしれないけど、少なくとも私には見つけられなかった。

仕方なしに車のトランクから取り出したタオルで全身の汗を吹き、多目的トイレで着替えを済ませた。

こういう多目的トイレの使い方なら、まぁ許されるだろう。ね?

 

またひとつ、私の旅ランに新たなコースが追加された。

 

さぁ、では上田に向けてドライブ再開。

氷壁へ(上高地)

朝8時半に宿を出発するマイクロバスで上高地バスターミナルまで送ってもらう。

前日、このバスターミナルのやや上流にある河童橋から、上高地の入口に位置する大正池までは、梓川の両岸を踏破した。

 

今日は河童橋から上高地最奥の地、横尾まで歩き、上高地の完全踏破を目論む。


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いやー、文句のつけようのない、最高の天気だ。

前日も晴れてはいたのだが、奥穂高岳の山頂付近はほぼ雲に覆われていた。


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上高地梓川が山を削って出来た渓谷だ。


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コロラド川が枯れた大地を削って出来たかのグランドキャニオンとは、スケールの面では勝負にならない。

しかし、この雰囲気、この美しさ、この神々しさ、日本人の琴線に突き刺さる渓谷は、上高地だ。


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岳沢湿原。

素晴らしい眺め。


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明神池へのアプローチ。


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池とその向こうの山そのものが、信仰の対象である。


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神々しい。


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実に神々しい。


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神様と乾杯。


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明神館から明神岳を望む。

 

さて、ここから奥の徳沢へ向かう道は、アップダウンの多い山道。割とフラットなこれまでと異なる、完全なトレッキングロードだ。

観光客の数もグッと減り、歩いているのはガチのアルピニストばかり。軽装の私は異色だ。リュックの奥から熊鈴を取り出し、チリンチリンと鳴らしながら進む。


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時折このように眺望が開けて、北アルプスが拝める。


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徳沢に到着。

この徳沢は、井上靖の「氷壁」の主人公が、穂高アタックの時のベースキャンプにした宿として登場する。


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更に奥へ向けて歩く。

完全な山道、トレイルランナーとすれ違った。


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ここが上高地最奥地であり、北アルプスアタックの登山口、横尾であります。

上高地の地図はここまでしか載っていないので、ここが最奥と捉えて間違いなかろう。


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横尾大橋を渡ると、その先は登山エリア。

つまり、ここが奥穂高や涸沢への登山口ということになる。

軽装の私に立ち入りが許されるのはここまで。

此岸と彼岸の分水嶺だ。


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お山のビールは高いですな。

でも横尾到達記念に1本飲んじゃおう。


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来た道をのんびりと引き返します。


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終日いい天気で随分と日焼けしてしまった。


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おっと、背中で語る哀愁の猿発見。

熊鈴が鳴っても振り返りもせず、少なくとも猿に対しては鈴の音は効果はないようだ。


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河童橋まで戻ってきた。

ビール休憩アゲイン。

 

これにて上高地トレッキング終了。

河童橋の先のバスターミナルから帰りのバスに乗り、宿に戻る。

 

スマホの万歩計アプリは、32500歩、24kmを表示していた。

 

中の湯温泉旅館(長野県松本市)

秘湯。

まさに秘湯である。

 

カーナビが峠道で「目的地に近づきました」と案内を終えたのは、何もない山の中。

私の目指す旅館は幻で、パラレルワールドに迷い込んでしまったのではないだろうかと不安になってきた頃に、それは唐突に現れた。


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中の湯温泉旅館。

鄙びた温泉宿を想像していたのだが、建物は綺麗かつ大きい。


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部屋からの眺めがこれだ。

まるでネパールの山小屋のよう。

 

先ずは源泉掛け流しを謳う大浴場でひとっ風呂。

少しぬめりのある泉質で気持ちがいい。

大自然の中の殊更開放的な露天風呂も最高だ。


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さて、お楽しみの夕食はこんなメニュー。


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ジャーン。豪華絢爛。


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地酒呑み比べセットを頂きます。


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流石信州蕎麦処。

 


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ちなみにこれは2日目のメニュー。

前夜と全く異なるメニュー構成に、ホスピタリティを感じる。

朝食までもが初日と2日目で異なっていたのは驚きだ。

 

さて、翌朝は8時半に宿のマイクロバスで上高地バスターミナルまで送ってくれる。

帰りは中の湯バス停まで乗合バスで戻り、バス停前にある温泉旅館の売店から迎えを頼むという方式。


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中の湯バス停は、かの有名な釜トンネルを抜けた何もないところにある。


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ここにポツンと佇む中の湯温泉旅館の売店小屋。

ピックアップをスタッフに頼むと、緑茶と和菓子を出してくれた。

15分程で私1人を迎えにワンボックスがやって来た。

この手間隙、このホスピタリティ、1泊1万7000円以上もするので流石人気観光地の宿は高いなと思っていたのだが、クォリティ、ホスピタリティを考えるに、値段に見合った、いや、むしろ安いぐらいの宿だと考えを改めた。

 

翌朝チェックアウトの時に、老舗と聞いていたけど随分綺麗な宿ですね、と尋ねると、中部縦貫自動車道安房トンネル建設時の水蒸気爆発事故の為に移転を余儀なくされ、20年前に安房峠の途中にあるこの辺鄙な場所に移ってきたのだそうだ。創業は実に100年以上も前だという。

そうか、それでこんな不便なロケーションなのかと納得。

ますます応援したい気持ちになる。

 

上高地再訪の機会あらば、是非またお世話になりたい。そんな素敵な宿だった。